2011年05月18日

◇ つつましやかに生き、ど派手に遊び、重たく夢みる ◇

 そしてこれでもか、と人生はつづく。

永田町に花 (1024x685).jpg 




 









昨夜、電話があった。

いままで会ったことも話したこともない方からの突然の電話だ。

発信源は石巻市から少し内陸に入ったところにある、とても小さな町。

たまたまその時、私は〆切に追われ55時間ほど昼夜ぶっ通しでタイプライターと格闘した後で、小一時間ほど横になり後睡をむさぼっていた。
起きなければ、起きなければ、と思いながらも枕に顔をうずめ、ひとりだだをこねていた時だった。

受話器から聞こえてきたのは、か細くも芯のある初老の男性の声。
彼はまず突然の電話を詫びた後、名を名乗った。
しばらく朦朧とした頭で私はその聞き覚えのない名前と声が、なぜかとても耳に心地よく、目をつぶって横になったままでいた。

ふとその男性が私に電話を掛けてきた理由を口にし、彼がここ数日間の近況を話し始めるに及んで、私は目が覚め、飛び起きると、そのたどたどしくも優しい口調の持ち主が誰なのかがわかった。

      ◆

数週間前、私は「小型発電機&携帯用手回し発電式ライトを被災地へ」なるプロジェクトをひとりで勝手に始め、数日前に資金難のためから打ち切っていた。

「プロジェクト」といっても、それほど大それたものじゃない。

単に個人的に知る輸入卸売業者から、数回に分け数十個単位で、小さなハンドルの付いた手動発電機内臓の小型ライトやラジオを仕入れ、
サンプルをまず被災地で信用にあたいするボランティア団体に託し、
サイズ・重たさ・形によりそれぞれどのような場面で必要性が高いのかをリサーチしてもらい、
そのデータを元に次から次へと卸業者へ発注し、段ボールに入れて送り続ける、
というだけのものだった。

輸送した後は、信頼できる(被災地で活動する)グループに、どのような優先順位でどのように配るのかの判断は任せた。

私が東京でやるべきことはただ、被災地ではない土地に住む過剰反応バイヤーが買い占めてしまう前に、
それら貴重なアイテム(特に、どこでも使用可能な携帯可能小型手回し発電機内臓サーチライト)がいわゆる“被災地ビジネス”や被災者感情に漬け込む“ぼったくりビジネス”で、ここぞとばかり儲けようとするヤカラの手垢にまみれた手になるべく渡らぬよう、
時にしたたかに、
時にきびしくルートを確保することだった。

しかし、卸値といっても数が数だけに決して安い買い物ではない。
また、「敵」の急増も悩みの種だった。
そのうち、それなりの資本金がある企業がカネになるビジネスとして幾つもの仕入れ業者を押さえてしまった。


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結果、もちろん単価はうなぎ上り。
とても私個人などがどんなに頑張っても太刀打ちできるようなハナシではなくなってしまった。

また、応援だけはしっかりしてくれても具体的な協力となると、呼び掛けにはなかなか応じてくれない人間のあまりの多さ。
たった一ヶ月分の酒代をセーブすれば済むハナシで、それほど生活に支障をきたすことのないヘルプで十分だったのだが、
何某かの見返りを求めようとしてくるのにはホトホト参った。

まあ、そんな訳で例の「プロジェクト」は3週間ほどで打ち切りにせざるを得なかった。
(その間、ヘビースモーカーの私は一番安い240円の『echo
』を根元まで吸い、食事は納豆とバナナとパンケーキ、最寄り駅まではバスを使わず30分以上かけて毎日歩き、映画館通いの大好きな私は配給会社が決めた映画の試写で我慢し、もちろん昼食も晩飯も出掛け間際に作った弁当オンリーで外食は一切せず・・・・・・たった3週間で9キロも痩せ、顔もゲッソリして、友人に「コークでもやってんの?」なんて訊かれる有様)。

もしどんなダイエットにも失敗して悩んでいる方がいるのなら、次回行う予定の私のプロジェクトに参加されればよろしいかと思う。

       ◆

 話を戻そう。

冒頭の電話は、そんなささやかな支援物資がどれだけ生活に役立っているのか、誰に感謝してよいのか、と様々な手段でようやく私の連絡先を知ることのできた方からの報告であった。

そして、そんな「ありがとうございますコール」はつづいている。
ついいましがたも。
しかし、励まされたのは逆に私であり、とりわけ今日は朝っぱらから嬉しい。

必ず、今度は違ったカタチで新たな「プロジェクト」を、おっぱじめようと固く決心した。

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次は映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の如く、どこかの撮影所で眠っている映写機を借りてきて、被災地の学校の校庭や原っぱで“野外映画上映会”を開きたいと思ってる。

ひとりでは決してできない企画だから、また(自分の仕事を犠牲にしてまで駆けつけてくれる)協力者を募ろうと思っている。
 
2011518日)


Takeshi Traubert Marumoto
丸本武

posted by タケシ・トラバート at 13:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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