2011年05月05日

★フォトジャーナリズムに対する過敏シンドローム★

いろんなひとがいる……

先日、幾人かの知人とこれからの “ジャーナリズム” について話し合う機会があった。

知人といってもジャーナリズムの世界とは縁のない娯楽業界の方々。 ところで私はフォトジャーナリストではない。
潜伏を主に人権侵害や難民問題についてロングスパンで取材するタイプの括弧つきの「ジャーナリスト」とでもいえばいいんだろうか。

まあそんなことはどうでもいい。

たしかに「フォト・ジャーナリスト」ではないが、写真を撮らない訳でもないし、他のフォトジャーナリストたちの仕事ぶりに敬意を払っている。


問題は先日、某フォトジャーナリズム写真展の会場を後にし、所謂
“ジャーナリズム”
について話し合った幾人かの知人たちがみせた感情的で極端な反応だ。

要点を先に述べてしまう。

“悲惨な場面や絶望的なシーンをカメラに収めて公表するという行為、それ自体がおぞましい行為であり、非人道的な行為であり、それを観る多くの人間の神経を逆撫でする行為である”、という意見がかつてに比べ、多くなってきているという点にある。

おそらく、阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件が起こった年、【1995
年】に近い状況かもしれない(が、あいにくその年、阪神淡路大震災の時はインド、地下鉄サリン事件の時はアフガニスタンとイランに私はおり、大事の渦中にいた日本国民の潜在意識までは探り得ない)。

それはもちろん、日本が終戦以降、これまで経験したことのないような大惨事に見舞われている、という背景あってこその悲しい意識の変化だろうが、ここまで極端な反応を示すとは思っていなかった。

最も極端な意見を挙げるなら、こんなのがあった。

「事実を知らせるなんて名目で、ひとが苦しんだり悲しんだりしている姿を写真に収めて、わざわざキレイにプリントして額に入れて展覧会まで開くなんていうひとたちはみんなビョーキよ。 っていうよりアタシに言わせればそもそもこの時代、フォトジャーナリストやかれらの仕事なんて犯罪行為ね。世界中のジャーナリストなんてみんな死んじゃえばいいのよ!!


「そう、あんたたちジャーナリストなんて被災地で必死にボランティアしてる方々に比べればムシケラ同然よ、いやムシケラ以下ね。“報道” だの “正しい情報伝達”
どうのこうのなんて能書きタレて、人の命ひとつ救えないフォトジャーナリストなんてみんな死んでしまいなさい」

「アナタもそんなバカみたいな仕事いつまでやってるの? アナタがかつて優れたデザイナーで装丁画家だったこと知ってるアタシとしては、ホント残念よ。アナタが写真撮影にあまり重点を置かないで取材する “ジャーナリスト”
だってことは知ってるけど、あんな残酷な写真撮ったり見せたりしてるフォトジャーナリストと根本的には同類なのよ!」

とんでもない発言である。

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たとえ、この度の大震災や原発事故のニュースで精神的に参ってしまって、悲惨な写真や映像(それがたとえ現状を伝えるために最低限、掲載・放送されたもであろうとも)…それらを見ることが、上記の発言をした人間にとって辛く、苦しいことであったとしても、過激に過ぎる。

ちなみに、このような発言をしたのは女性であるが、芸能界においては立派な仕事にこれまで長い間従事してきた、常識をわきまえたオトナである。

ここまで過激な発言でなくとも、彼女と似たような意見を持っている方々がこの、情報過多都市:東京にも想像していた以上にたくさんいることを改めて思い知った。

本来は繊細で感情豊かで、さらに娯楽産業に従事している「女性」にその傾向が強い。なぜだろうか?


まあ、そもそも悲惨な状況下に置かれている世界中の弱者の存在を伝えることより、逆にそんなネガティヴな現実から目をそらせ、現実逃避させる「芸能」業界に携わっているのだから、いつの間にかそんな人格になってしまっても不思議ではない。

が、

問題は、

目の前にいる小生が、「フォト」は付かぬとも「ジャーナリスト」のハシクレであることを重々承知の上での発言だった、という点に尽きる。
それは暗に彼女たちがこのホンネを、知名度もありキャリアの長い他のベテラン・ジャーナリストたちに伝えてほしい、というだけのことではないだろう。

もっとも、
日本の「芸能・娯楽」産業に埋没しながらフルに働いている方々と、
貧困や国際難民……または戦争や紛争といった前線に常に立って記事や写真原稿を現地から送り続けている(フォト)ジャーナリストたちとの間に、
 強い接点があまりない、
という残念な傾向が、特にこの「日本」という国では強い。そんな背景もくみしなければならないのだろう。

(あまり気分のいいものでは……まあ、ないけれども、人間洞察としては興味深かったかもしれない)。


takeshi traubert marumoto
丸本武
posted by タケシ・トラバート at 08:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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